訪問日記 ~その1~|(株)SMART自費訪問|在宅・施設・自費リハ・土日祝日OK
こんにちは。SMART理学療法士の佐藤万里子です。
春になり桜が満開になりました。桜が咲き始めると、普段気にしなかった木々が桜だったことに気が付いて、いつもの風景が豊かになりますね。
訪問した先で桜が満開になったことを伝えると、皆さん笑顔になられます。

日々、訪問する中で、初めてお会いした時よりも元気になられる方がたくさんいらっしゃいます。
今回はその中のお一人の様子と訪問時のエピソードをご紹介します。
施設入居中のA様は、はじめの頃は基本車いす移動生活で、ベッドからの起き上がりも少しお手伝いしましたが、現在は時々食堂にも歩行器で歩いて移動し、トイレもスタッフさんの介助なく自分で歩いて自室トイレを使用できるようになりました。
当初は短距離の歩行練習も、怖さや疲れから余裕がなく「一生懸命歩いている」といったご様子でしたが、最近は杖や歩行器を使ってお話しながら歩く余裕もでてきています。
歩くことが安定したため、現在では定期的にご自宅への外出の機会を持つことができ、ご自宅への外出で家族と好きなお寿司も楽しめたそうです。

先日の訪問で、歩く練習前にベッドに座っていたA様が床をじっと眺めながら、「そこのところ、犬に見えませんか?」とおっしゃるのでA様の視線の先を見ると、居室の床の木目模様を見ておられます。
よく見ると確かに木目を目や鼻の位置に見立てるとコリーのような犬の顔に見えました。
そう伝えると、微笑んで、「お化けもいるのよ。わかるかしら?」とおっしゃいます。
すぐにわかりました。ムンクの「叫び」のようなゆがんだ顔が床の木目で見て取れます。

「これですね!」
私が指し示すと、嬉しそうにA様は笑って、「そうそう!」とうなづかれました。
その後、杖で施設内廊下の歩行練習をしながら、子供のころ寝ながら天井の木目模様やシミなどが顔に見えて(シミュラクラ現象と言うそうですね)怖くなって眠れなかった話などしながら余裕のある歩行練習を行うことができました。
とるに足らないエピソードかもしれませんが、バランスを崩さないよう歩くことに緊張していた以前のA様からは想像できないことでした。
すれ違う施設スタッフさんからも、ずいぶん歩けるようになったと話しかけられ、笑顔でお礼を言いながら歩き進めるA様。私も一緒にうれしくなりました。
また、以前は「テレビもつまらない。何もする気にならない」と言っておられましたが、床のシミからイマジネーションを働かせてちょっと楽しむ余裕もでたことも嬉しいことでした。
ただ、一つこれから注意しなければいけないと思った場面もあります。
いつものように施設の廊下を歩く練習をしながら、いつも行かない談話コーナーに行ってみた時のことです。
そこは素敵なソファが並び休憩にはちょうどいいと思いお連れしたところ、それまでスムースだったA様の歩行が急に不安定になったのです。
「なんだか床がぐらぐらして歩きづらいわ」と。
その空間は床がきれいな木目の斜線のデザインになっており、その視覚刺激から床が平らに見えずに混乱してバランスを崩されたようです。

不安感を与えてしまったことに反省するとともに、一つまた勉強になりました。
普段、リハビリで歩行練習を行う中で、段差や坂道、不整地など考慮して練習することは多くあるのですが、まさか完全バリアフリー、平坦な床でも、A様のように繊細に床の模様を読み取り不整地のように感じて歩きにくくなることもあるのだと知りました。
一人ひとり、見えている世界が違うこと、マンネリになりがちなリハビリにもあらゆる場面を想定して違う刺激を入れてみることなど考えて、これからもA様が安全に楽しく外出できるよう工夫していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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