こんにちは!SMARTの言語聴覚士、阿部です。

いよいよ夏本番も迫っておりますが、皆さまお身体の調子はいかがでしょうか。

今回は、前回に続き失語症についてです。より詳しく見ていきたいと思います。

失語症のタイプ

失語症にはいくつかのタイプがあります。

➀運動性失語

言葉を理解することは出来ますが、自分から話すときは言葉が出づらくなり、ぎこちない話し方になることが多いです。

前頭葉の「ブローカ野」という部分が損傷することで起こります。

症状の主な特徴

・会話量が少ない、あるいはほとんど話さない。

・聞いて理解は出来るが、自分からの言葉はたどたどしい。

・話す言葉に歪みがある。

➁感覚性失語

自分から話すことは出来ますが、言い間違えが多くなります。また相手の話を聞いて理解することが難しく、会話が成立しないこともあります。

側頭葉の「ウェルニッケ野」という部分が損傷することで起こります。

症状の主な特徴

・話し方は滑らかで量も多い。

・言葉の言い間違いが多い。

・話が支離滅裂になり会話になりづらい。

③全失語

話す・聞く・読む・書く、全ての言語機能が重度に損なわれ、意思疎通が難しくなります。

脳の広範な部分を損傷することが原因で起こります。

症状の主な特徴

・意味のある言葉はほとんど出ないことが多い。

・同じ語だけを繰り返すことがある。

・コミュニケーションをとること自体が難しくなる。

失語症の訓練法を選ぶ流れ

症状・程度により訓練法は異なります。言語聴覚士が失語症の程度、ポイントとなる症状等を考慮して決めていきます。

・失語症の程度がかなり重い

→まずは身振りや絵などを用いた言語以外で行えるコミュニケーション方法を探します。

・ある単語が別の単語に置き換わる

→聞いた単語や、文字で書かれた単語がどれか絵カードの中から選ぶ訓練を行います。

・言おうとする単語は合っているが音が入れ替わる

→まず言葉の理解から始め、音声を使って表出の幅を広げていきます。

・発音は出来るが、音を探すようなたどたどしさがある。

→1文字の単語の発音練習から始め、次第に長い単語の練習を行います。

・明らかなマヒはないが発音動作に問題がある。

→言語聴覚士の口の動きや、鏡で自分の口の動きを確認しながら発声練習を行います。

失語症の方とのコミュニケーションポイント

・落ち着いた雰囲気でゆっくり話す。

失語症の方は即座に答えることが難しく、考えている内に話が続いてしまうと、内容が分からなくなってしまいます。話しかけるときはゆっくり、長々ではなく短い文で分かりやすく話すようにします。

・「はい」「いいえ」でこたえられる質問を。

失語症では言いたい言葉がなかなか出てこないことがあります。そのような時は、聞き手側は言いたい内容を推察し、「はい」「いいえ」で答えられるように質問をします。

・絵や身振り、表情をまじえて伝える。

話したい内容が絞りきれない場合は、絵や図に描く、ジェスチャーなど、手掛かりとなるものが出せないかを試してみましょう。少しの情報でも聞き手側にとってヒントとなります。

・先回りやさえぎったりはせずに、ゆっくり待つ。

なかなか言葉が出てこないときは、せかさずにゆっくり待ちます。また、間違った言葉を言ってしまうこともありますが、すかさず誤りを指摘するのでなく、さりげなく「〜ですか?」と正しい語を言って確認しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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